区の再編について、行政と市民の認識のギャップ。
行政は、区の再編は組織の見直しだという。しかし、市民にとっては様々な暮らしの単位の見直し、まちづくりの単位の見直しと捉えているようだ。ここに大きなギャップがある。
「今まで区としての一体感を作ってきたのに」「らしさを引き出そうとしてきたのに」という言葉が出るように、特に北区、天竜区、東区の方にとっては、区を「まち」「地域」の単位として意識していたということだろう。
それは、今の区に関する条例(浜松市区及び区協議会の設置等に関する条例)では、区役所の分掌事務の一番に「まちづくり関する事項」がなっていることからも必然的だ。
浜松市区及び区協議会の設置等に関する条例
(区役所の分掌事務)
第3条の2 区役所が分掌する事務は、次のとおりとする。
(1) まちづくりに関する事項
(2) 社会福祉、社会保障及び保健衛生に関する事項
(3) 子どもに関する事項
(4) 前3号に掲げるもののほか、区民に身近な行政サービスに関する事項
三方原地区から出た要望書の中には、引佐3町と自治会活動などに制度的な違いが改善されずにいると書かれていたように、区を単位として、自治会などの民間団体も同じ制度になるようにしてきたことが窺われる。
行政は、行革のための組織の見直しだから、市民サービスを低下させないし、市民には迷惑かけない。そして、地域の単位は、協働センターごと、中学校区ごとと変わらないし、そこに正規職員を1名増やすので、コミュニティ支援ができるとしている。
今回の区の再編では、
区役所の役割は
ア 市民に身近なサービスの提供
イ 法令で区役所での実施が定められている業務
ウ 行政情報の発信と市民意見の収集
エ 市民との協働による地域づくりの推進
としていて、まちづくりという言葉は消えている。
コミュニティ支援とまちづくりは、似ているようで、大きく異なる。
コミュニティは、特定の共通した諸特徴(類似、共同性)によって区切った単位のこと。たとえば、自治会など。
まちづくりを担うアソシエーションは、特定の人たちの共通の目的や利害関心により組織化された集団の単位のこと。
浜松市のこれからのまちづくりはどうやっていくのか。
区の再編は、組織の見直しだけの議論にしたくない。
これからの浜松のまちのあり方を決めていくものだ。