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神奈川県インクルーシブ教育、クリエイティブスクール 視察報告 その2

インクルーシブ教育・厚木西高校

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  • 経緯

平成28年度から始まった県立高校改革において、 知的障がいのある生徒が高校教育を受ける機会を拡大するため、インクルーシブ教育実践推進校を3校 (足柄高校、厚木西高校、茅ケ崎高校)指定し、平成29年4月、連携募集により各学校に生徒が入学した。募集人数は21名で、通常クラスに3名程度在籍をする。障がいのある生徒もない生徒もともに学び、学校行事や部活動に一緒に取り組んでいる。

厚木西高校には、連携募集生徒が現在38人在籍(車椅子利用者も在籍)し、今年度初めての卒業生を出す。

 

  • 入試について

「連携型中高一貫教育」一般募集とは別に、地域内に連携する中学校に在籍する生徒に限定をした「連携募集」による入学者選抜をする。厚木西高校では、厚木市内の各中学校に通い、療育手帳B2程度(来年度からこの規定はなくす予定)の知的障がいのある生徒で校長先生の推薦を受けた生徒。選抜方法は面接のみ。

 

  • 志願に向けて

連携中学校を通して、学校説明会、授業見学会、学校見学会、学校行事に少なくても1回は参加すること。

  • 厚木西高校の教育過程の工夫について

 ・フロントゼロ

  授業中の刺激量を調整するため、黒板及び黒板周辺の環境を整備

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・授業の目標設定

  「この時間の目標」プレートを各教室に配置、授業ごとにその時間の目標を提示

   授業中に小さいホワイトボードに、目標を書いて回ることも。

 ・施設整備

  手すりや飛散防止フィルムの設置、トイレ洋式化、リソースルーム(各学年1つづつ)の設置

   リソースルームAは、最大24名までの授業が可能で、連携募集生徒の「職業と生き方」の選択授業で活用

 

   リソースルームBは、連携募集生徒の個別指導の部屋で、クールダウンの部屋としてや昼食時の部屋(連携募集生徒の交流の場)としても使用。

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リソースセンター
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    ・そのほか

      職員の名札のストラップの色を学年色

      校内表示を棟別の色分けに

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    厚木西高校の支援体制

 ・1クラス3人制(担任、連携担任、副担任)

 ・ティーティーチング、習熟度別少人数学習、リソースルームを活用した個別学習

 ・プロジェクターなどを活用して、すべての生徒にとってわかりやすい授業を工夫している

 

  • 授業における配慮  

・授業時間は52分、8分休憩、授業終了2分前に予鈴が鳴る

・授業中のiPadタブレット機器の使用 ・・・ 申請・許可

・教材の工夫 ・・・ ルビ・拡大・別課題等

・視覚的な授業 ・・・ プロジェクター、モニター、実物投影機等の利用

 

  • テストにおける配慮

・別室(リソースルーム)受験可 ・・・ 読み上げ、解答方法の指示 等

・問題用紙の工夫 ・・・ ルビ付き、解答欄の工夫

・必要に応じて、別問題での受検も可

・テスト時間中の廊下担当の導入

 

  • 連携募集生徒へのキャリア教育

 ・選択科目で「職業と生き方」の設定

(マナー、コミュニケーション、PC検定、ビルクリーニング検定など)

 ・インターシップ 夏休みを利用し、5日間の職業体験

  • 在校生や地域との関わり

  ・在校生には、ユニバーサルデザイン化を促す試み

  ・研究学園都市の利点を生かして、地域の企業と映画「みんなの学校」上映とグループダイアログ

 

  • まとめ

 多様な障害への理解、授業の工夫と支援、高校生活を豊かにするための目標と手立て、そのことによって、すべての生徒にためになる。

 

  • 追加調査

義務教育の小中学校のインクルーシブ教育はどうなっているか調べた。

厚木市の毛利台小学校は、支援級の児童の籍を支援級に残したまま、通常級に所属し、可能な限り多くの時間を通常級に過ごす「インクルーシブ教育」の県と市のパイロット校に指定され、実践研究に取り組んでいる。

通常学校にも、学習に遅れがち、集団生活に馴染みにくい子はいる。その子どもたちのために、個別や少人数で教える「のびっこルーム」を作った。

通常級の授業をわかりやすくするために、授業ごとにその日の大まかな流れを小型のホワイトボードに書き、いまどこをやっているかを伝えている。

通常級の担任と支援級の担任がチームを組んで、困っている子への支援を 分かち合うことを目標にしている。