持続可能な森林管理について〜一般質問その3〜

持続可能な森林管理について〜一般質問その3〜

 

過疎化や少子高齢化が進む中、相続したがどう管理したらいいかわからない、あるいは森林整備の仕方がわからなくて放置しているなど、森林経営が適切に行われていない森林があり、そのまま放置すると土砂崩れや山火事を起こす可能性があります。

もう一つの問題として、数多くの木を一度に伐採する方法が、日本各地の山々、浜松の山でも広がっていることです。生産性を上げるため、一定の範囲にある木をすべて伐採する「皆伐、または主伐」という方法です。

 

先日放映された「NHKクローズアップ現代プラス」の「いま日本の山で何が!?では、九州四国などをはじめ、皆伐したけれど、その後植林されずそのままになっている造林未済地、皆伐放棄地が増えてきていると指摘していました。造林未済地は表層崩壊に多発を招く恐れが指摘されています。皆伐したあとに残った根は5年から20年で腐り、そこに水が入り込むことで土砂崩れの原因になりやすいといいます。さらに、大型の重機を通す作業道が災害のリスクを高めると指摘していました。傾斜地に幅が広い作業道を切り出すことで、山の表層にダメージを与え、斜面の崩落が起こりやすくなるというのです。

 

番組の中で森林科学の第一人者、蔵治(くらじ)光一郎さんは「非常に乱暴なやり方、経済優先、効率優先でそうしている。ずっとずるずる崩れ続ける山になる恐れが出てくると思う」と話されていました。

 

そこで、清水農林水産部長に3点質問をします。

ア として、20194月にスタートした、森林経営管理制度では、林業経営に適した森林は、市町村が林業経営者に経営管理を再委託し、林業に適さない森林は市町が自ら森林の管理を行うことになっています。

森林の相続に関する周知をどのように行なっているのでしょうか。また、森林所有者が適切に管理できていない森林について、どのように対応していくか伺います。

 

イとして、災害を防ぐためにも、皆伐された山に木を植える「再造林」が重要です。皆伐跡地に再造林することで、次の世代の山を育てることとなります。皆伐後の造林未済地を解消するため、どのような対応を講じるのか、伺います。

 

ウとして、フォレスター、森林総合監理士は、森林・林業に関する専門的かつ高度な知識及び技術並びに現場経験を有し、長期的・広域的な視点に立って地域の森林づくりの全体像を示す専門家です。

 森林の専門家である森林総合監理士(フォレスターなどを積極的に活用できないか、伺います。

 

<回答>

ア 森林法では、相続や売買等により所有者に変更が生じた場合、市に届出義務がある。市のホームページや市民窓口等で周知していく。

森林組合等と連携をし、森林所有者に対し名義変更の必要性を啓発するとともに、「新たな森林管理システム」を活用し、森林の適正管理に努めていく。

イ 森林法では、皆伐する場合、伐採届の提出が必要。浜松市では伐採後の翌年度から2年後の年度末までに植林を実施しなくてならないと定めている。

令和2年度末までに、造林期限が到来した伐採届55件のうち6件が造林の報告が提出されていない。

今後、造林未済地が発生しないよう、伐採届と伐採地の情報を一元管理するシステムの導入を検討する。

ウ これまでの職員育成に加え、林野庁で定めた森林総合管理士や県山林協会の森林整備アドバイザーなど専門知識を有する方を積極的に活用する。

 

<再質問>

1点目適切に管理できていない森林を整備する方法は、この「新たな森林管理システム」だけだという理解でいいでしょうか。

 

2点目。造林未済地に関してですが、そもそも伐採届を出さずに、ほぼ皆伐のような施業をしているところについての把握と指導はどのようにしていきますか。

 

<意見>

 

海岸も森林も一度壊してしまったら、元に戻すことは困難です。活用だけでなく、環境保全も一緒に考え、持続可能な豊かな浜松にしていってください。