自殺対策「生きるための包括支援」〜一般質問その7〜
2020年全国的に新型コロナウイルスの影響により、女性や若者の自殺が増えたと公表されました。
浜松市では、自殺者数は年々減ってきてはいますが、2020年は110人と、100人を超えており、そのうち未成年・学生は5人でした。この数は、交通事故死者より数倍多い数となります。ちなみに、自損行為による救急搬送は、291件でした。
自殺はその多くが追い込まれた末の死であり、その 背景には、経済・生活問題や健康問題、過労、生活困窮、いじめや孤立などさまざまな社会的要因が複雑に絡み合っています。
新型コロナウイルスの感染は未だおさまっていません。コロナ禍で人々の孤立と社会の分断はいっそう深まっています。もともとうつ病などのハイリスクの方だけでなく、溢れる情報で不安が煽られ精神的に不安定になる方、雇用継続ができず生活が困窮する方が今後増えいく可能性があります。コロナ感染が直接の原因でなくても、コロナ関係で亡くなってしまう人を防いでいかなくてなりません。
現在、精神保健福祉センターを中心に、こころの健康に関する教育や啓発、早期発見・対応は進んできています。また、自殺対策地域連携プロジェクトでは、多職種の連携が始まっており、司法書士と福祉などとの連携の成果が出てきています。しかし、現時点で自殺に至る方への対応はできておらず、失敗事例も出てきています。対応を依頼しても責任を持って対応できなった市の部署もあるそうです。その現状では対応できていると言い難く、更なる総合的支援体制が求められています。
そこで、鈴木医療健康部長に2点お聞きします。
1点目です。第3次浜松市自殺対策推進計画で、地域を支える専門職の多職種連携による自殺リスクの高い人の支援があげられています。警察、司法関係、医療機関、民間団体、教育機関、地域、行政など様々な分野の多職種連携で具体的に、適切にハイリスク者への支援をしていくためには、「コーディネート」の役割が必要です。今後、コーディネートできる体制をどのように整えていくか、伺います。
<回答>
平成29年に、市の51の関係各課に自殺対策連携推進員を配置し、官民の相談期間の連携強化を図っている。
今後も、自殺対策連携推進員研修会や、他職種事例検討会を開催、様々な相談期間でコーディネートできる人材を育成していく。
2点目です。静岡市では、静岡自殺対策ホームページ「しずここネット」生きる!を支えるを立ち上げ、メンタルヘルスの基礎知識、静岡市の自殺の状況と対策などとともに相談窓口が検索できるようになっています。
心の健康や生活・家庭の問題などで悩んでいる人、心配している家族や友人向けに、基本的なメンタルヘルスに関すること、時期や要因に合わせた情報などを追加し、ホームページを充実させる考えはないか、伺います。
<回答>
メンタルヘルスの基本的な情報や時期・要因に合わせた情報の追加については、新型コロナウイルスの感染症拡大に伴い、自宅で過ごす時間が増えている、自宅療養者がいることから、必要である。さらなる内容の充実を図っていく。
<再質問>
様々な相談機関において連携調整する人材を育成して、セーフティネットの強化を図っていくとのことですが、それは必要なことですが、専門的にコーディネートし、スーパーバイザー的な役割もする人を設置することは、考えていないのでしょうか?
<まとめの意見>
20数年前、気仙沼の牡蠣漁師さんが海を豊かにするために、森に木を植えようと立ち上げた「森は海の恋人」運動があります。海をきれいにするには、川のそばに住んでいる人々に、自然を大切にする気持ちを持ってもらわなければいけない。川の上流に、漁師が広葉樹の森をつくろう。そうすればみんなそのことを考えてくれるはずだと。上流から川のそばに住んでいる人たちが少しずつ自然のことを考えるようになり、川がきれいになると海もきれいになってきました。漁師たちの森づくりは人の心に木を植えることでもあったそうです。
せっかく、浜松には山も海も川も里もあるのですから、持続可能な地域にするためには、山だけ、海だけと考えず、浜松全体の課題として考え、解決していって欲しいものです。
浜松が100年200年後も自然豊かで、市民が幸せに暮らせる持続可能な街であり続けられることを願います。