「データに基づいて、川から流れるマイクロプラスチックを削減したい」
「人口芝」「ブルーシート」がマイクロプラスチックに。
2020年度の政務活動費を使い、世界共通の環境課題になっているプラスチックの海洋流出の実態を調べるため、市内を流れる二級河川、馬込川のマイクロプラスチックの浮遊状況調査を実施した。
マイクロプラスチックは、直径5mm以下と小さいプラスチックのことで、環境中の有害な化学物質を吸着する性質があり、誤って飲み込んだ鳥や魚、ウミガメなどへの影響が懸念される。さらには生態系や人間の健康への悪影響も懸念されている。その課題解決のためには、流出が懸念される製品、その流出量、そして流出経路を把握し、データに基づいた具体的な施策を打ち出すことが必要だ。
今回の調査の採取に当たっては、浜松市環境政策課、NPO法人エコライフはままつ、浜松の海を守る会のご協力をいただき、採取したプラスチックを株式会社ピリカ(東京都)に、調査・分析・報告を依頼した。2020年10月に馬込川流域4地点(白羽橋、茄子橋、五枚橋、新高橋)で、浮遊物を採集した。
事前にはレジ袋やペットボトルの破片かと想像していたが、分析した結果は、「ブルーシート」「人口芝」が多かった。どちらも、屋外で使用され、紫外線やスパイクなどの擦れにより劣化し、小さい破片がそのまま排水溝、そして川に流れていってしまう。テニス場、サッカー場などのスポーツ広場で「人工芝」が使われている公共施設があり、そこの影響があるのではないかという、調査の結果が出た。
その調査結果を示して、2021年9月議会の一般質問で公共施設の人工芝の利用状況について、質問をした。回答は、200㎡以上の人工芝を有する市有施設査したところ、21箇所、約10万㎡の面積で施行されていた。そのうち、比較的規模の大きな3施設を現地調査したところ、実際に人工芝の破片が側溝や集水枡に堆積していたと。
さらに、スポーツ施設、具体的な浜北平口サッカー場(サーラグリーンフィールド)で利用している人工芝の管理を今後どのようにしていくのかを質問した。今後、スポーツ施設の周囲の側溝に「集塵フィルター」を試験的に設置していく、そして浜北平口サッカー場は、耐久性のある人工芝への更新を検討していくとの回答があった。
議会終了の2ヶ月後、浜北平口サッカー場と花川テニス場に、削れた人工芝が川に流れていかないよう、「集塵フィルター」を設置する工事を始めるとの報告があった。
今回は、調査結果というエビデンスがあったため、市の早急な動きに繋がった。しかし、グランドの「集塵フィルター」の設置は、マイクロプラスチック削減の一つの方法に過ぎない。そもそもプラスチックの使用削減をどうしていくか、ポイ捨てをなくしていくのはどうしたらいいか、さらに海洋プラスチックを減らす方策を今後も考えていきたい。