「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律への対応について」〜一般質問その2〜

大きな質問の2番目は、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律への対応について」です。

 

令和6年4月1日から、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が施行されます。この法律は、1956年にできた売春防止法をもとにつくられた仕組みを改め、女性の人権尊重や福祉の向上を目的に掲げているものです。これまでは相談を受けたり、保護したりするときに「女性に売春をさせないため」という考え方がベースにありました。新しい法律には、こうした観点から脱却して、日常生活に困難を抱える女性を幅広く助けていくねらいがあります。目的や基本理念に「女性の福祉の増進」「人権の尊重」「男女平等の実現」があります。

支援対象を「性的な被害、家庭の状況、地域社会との関係性、その他の様々な事情により日常生活または社会生活を円滑に営む上で困難な問題を抱える(おそれのある女性を含む)女性」と定義されています。

 

コロナ禍で、もともとあった男女間や非正規雇用などの格差による困窮が顕在化されました。女性が抱える困難も複雑・多様化かつ複合的なものとなっていて、DV、虐待、性被害、障害、生活困窮など多岐にわたり、制度のはざまにある課題もあります。特に若年女性に関しては、SNSを入口とした性被害、JKビジネス問題、性搾取被害、居場所の喪失など、課題が多いです。虐待や貧困で居場所がなく、街をさまよう若い女性たちが、やっとの思いで自治体の窓口に相談に行っても、公的支援にはなかなかつながらない、そもそも公的支援がないのが現状です。

 

そこで、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律への対応について」3点伺います。

1点目は、法律の施行に合わせて、本市としてどのように対応していくか、新谷市民部長に伺います。法律では、市町村は市町村基本計画を策定するよう努めることとなっています。

2点目、3点目は吉積こども家庭部長伺います。

2点目、これまで支援が届きにくかった若年女性の支援について、どのように考えていくのでしょうか。

3点目、婦人相談員の待遇改善と拡充については、どのように考えているか伺います。これまで婦人相談員は週30時間の会計年度任用職員で、相談員の熱意と努力に依存してきたと言っても過言ではありません。DV対応などで、危険な目にもあってきたと聞いています。今回の法律で、婦人相談員は女性相談支援員と名称が変わり、専門性の向上が求められます。支援法の第11条では、困難な問題を抱える女性の発見に努め、その立場に立って相談に応じ、専門的技術に基づいて必要な援助を行うとあります。必要な人材を確保するためには、研修の有無や経験年数を考慮した待遇改善が必要です。待遇改善は考えているのでしょうか。また現在、北区、天竜区には婦人相談員の配置がありませんが、拡充するつもりはないでしょうか、伺います。ここで、分割します。

<新谷市民部長答弁 一部>

来年度には、次期男女共同参画基本計画を策定し、困難女性支援法における生活困窮やDV、健康に関する悩みなどの支援策を計画に位置付ける。困難な問題を抱える女性が必要な情報に容易にたどり着くことができるよう、関係機関等と連携し、支援体制の充実を図っていく。

<吉積こども家庭部長答弁 一部>

若年女性の支援について。市内には若年女性や母子の支援を対象とした居場所づく理を行いたいという意欲を持つ団体もあることから、先進市の事例等について調査研究し、支援団体の育成等、支援先となる受け皿の充実に向けた検討を行っていく。

 

婦人相談員の待遇改善と拡充について

報酬面では、国の示す基準を満たしており、今後も制度の改正があれば見直しを検討していく。現在、婦人相談員が配置されていない現企画と天竜区にも配置できるよう人材の確保に努める。

 

<再質問>新谷市民部長に再質問します。

来年度策定の次期男女共同参画基本計画に困難女性支援法における生活困窮やDV、健康に関する悩みなどの支援策を計画に位置付けるとの答弁でした。法律に基づいた支援策はもちろん必要ですが、現場、浜松で起きていることに目を向けることも必要と考えます。そこで、これまで困難女性を支援してきた民間団体や婦人相談員から、現場での女性たちの実情をヒアリングし、それを元に支援策を考えていくつもりはないか、再質問します。

 

 

<意見・要望>

 今回の法律成立により、困難を抱える女性の存在がようやく社会で広く認知され始め、児童、障害者、高齢者の三つの福祉分野と比べて取り残されていた女性福祉がスタートラインに立つことができました。

しかし、困難を抱える女性を支援する女性支援相談員は、社会福祉士などの資格を持ち、専門性が要求されながらも、年収250万円ほどです。女性を支援する側が貧困ラインとは、あまりには悲しすぎます。現在は週30時間のパートタイム会計年度任用職員の扱いです。女性相談支援員には、フルタイム会計年度任用職員制度の導入などを検討し、待遇改善していただきたいと要望します。

 

支援策として、一つ例を紹介します。東京都国立市では一時的な避難先での滞在費用を負担する仕組みをつくる「女性パーソナルサポート事業」を実施しています。
DV等により自宅から避難することが必要な方でも、既存の一時保護施設があわない方のために、短期宿泊と中長期的な自立支援の2つを柱に、民間女性支援団体に業務委託をしているとのことです。女性の意向を確かめながら見定め、住まいや医療、生活保護、仕事にもつなげていく事業です。ぜひ、浜松市でも女性の実情を調べ、現場にあった具体的な施策を検討していただきたいと要望いたします。