「困難を抱えた子どもたちの中学卒業後の継続的支援について」〜一般質問その3〜

大きな3番目の質問は「困難を抱えた子どもたちの中学卒業後の継続的支援について」です。

少子化が進んできていますが、皆さんもご存知のように、不登校生や発達障がいの児童・生徒は年々増えてきています。また、虐待、貧困、ヤングケアラー、LGBTQといった困難を抱えている子どもたちの存在についても言われるようになってきました。中学在学までは浜松市として様々な施策の展開で、子どもと家庭を支えてきています。しかし、中学卒業後、ほとんどの子は高校へと進んでいくのですが、その先の支援が途切れてしまっている現状です。

資料1、2をご覧ください。静岡県内の公立高校の不登校生、中退者のグラフです。注目は全日制高校の不登校、中退者が増えてきていることです。

資料1※静岡県「子どもたちのウェルビーイングの実現に向けて」―困難を抱える子どもたちを支える環境づくりのための方策と人口減少社会を見据えた高等学校教育の在り方― 中間報告より引用

 

資料2※静岡県「子どもたちのウェルビーイングの実現に向けて」―困難を抱える子どもたちを支える環境づくりのため の方策と人口減少社会を見据えた高等学校教育の在り方― 中間報告より引用

昨年、市民団体と一緒に県内の高校(全日制、定時制、通信制)にアンケート調査しました。約3割の学校から回答が寄せられました。生徒や保護者の相談に9割、担任の教師が相談にのっています。しかし、外部機関への相談にはなかなか繋がっていません。実際に複数の高校教師にヒアリングしましたが、外部機関、特に福祉部門との繋がりは薄い、具体的な外部機関をよく知らないとのことでした。

 

 

また、近年は、困難を抱えた子どもたちが私立通信制高校へ進学するケースが増えてきています。資料4、5をご覧ください。通信制高校への進学について通常級卒業の生徒では、平成30年から令和4年で100人も増えています。これは中学不登校生が、内申書が考慮されない私立通信制高校を選択しているかと思われます。また、発達支援級の生徒の進学も増えてきています。自閉・情緒クラスもさらに知的クラスも、私立通信制高校が一定数選択されています。現在、多くの生徒たちが進学する私立通信制高校ですが、不登校生数や中退者数は公表されていません。ほとんどの私立通信制は広域型のため、静岡県外に本部があり、市内にあるサテライト施設であっても、管理が行き届きにくく、教育内容の把握が難しいと言われています。

資料4定期調査:卒業後の状況調査票(中学校)を基に指導課の資料から作成

資料5教育総合⽀援センター・教育⽀援課からの資料から作成



そこで、「困難を抱えた子どもたちの中学卒業後の継続的支援について」2点伺います。

1点目は、吉積こども家庭部長に伺います。戦略計画2024の基本方針に、浜松市若者相談支援窓口「わかば」の体制強化が示されていますが、どのような体制にしていく考えか伺います。また、高校、特に私立通信制高校との連携は大変重要になるかと思いますが、どのように考えているのか伺います。

 

2点目は、宮﨑教育長に伺います。困難を抱えた生徒が、中学を卒業後、高校に進学した後も、切れ目のない支援をするために、保護者の了解を得た上で中学から高校へ情報提供できる仕組みづくりや、卒業時に保護者等に支援機関を提示するようにできないか伺います。また、中学校教員への外部支援機関、特に福祉の機関についての認知を進める研修をする考えはないか伺います。

<吉積こども家庭部長答弁 一部>

現在の「若葉」の機能を強化し、若者が相談しやすい環境を提供するとともに、助言や支援機関の紹介だけでは次の一歩を踏み出せない若者に対しては、専門職により「伴奏方支援」が可能となる体制の構築が必要。

今後は、学校訪問にうおるアウトリーチにより、連携を図るなど、困難な悩みを抱える若者に寄り添い、支援に繋げられるよう検討する。

<宮﨑教育長答弁 一部>

福祉的な情報については、保護者の同意を要することから、学校からの情報提供が難しい場合が多く、困難を抱えた生徒の情報が進学先へ十分に引き継がれていないのが現状。卒業後、速やかに相談・支援につながるよう、学校以外の相談先の情報を提供している。外部支援機関については、中学校のすべての教員が認知できるよう研修を進めていく。

 

<意見・要望>

療育手帳が取得できない、知的を伴わない発達障害の子やごく軽度の知的障害の生徒は、特別支援学校高等部には入学することができず、中学卒業後の進路に困っています。高校は県教育委員会の管轄でありますので、宮﨑教育長、県教育委員会に浜松の生徒の状況をしっかり伝え、取り残さない仕組みを作っていただくよう、要望していただいたいです。

高校生は児童福祉法の対象でありながら、小・中学生と比べて現実的には相談や福祉サービスの利用が難しくなっています。また、高校を中途退学した後も、孤独・孤立や貧困の連鎖を招かないよう、家族問題を抱えている若者への継続的な支援サービスが必要です。卒業した中学、高校、関係機関の単なる情報連携から、相互に連携して一体的に連携を行う「行動連携」を進めていって欲しいと思います。そのためには、機能強化をする「わかば」においては、専門家を十分に配置し、アウトリーチを含め、丁寧で継続的な支援ができる体制を整えていって欲しいと要望いたします。